公共サービスのSaaS化と自治体/本多滝夫・稲葉一将編著稲葉多喜生・神田敏史・眞田章午著書

ビジネス書

自治体のIT化ってどうなってる?

SaaSと自治体について学ぶ1冊

①読むきっかけ

SaaS業界における知識を身に付けたいと考え、ネット検索していたところおすすめに出てくることが多く購読。

②要役

1.デジタル社会とSaaS

オンプレ/IaaS/PaaS/SaaSの各サービスの違いについての説明。

自治体のIT化に向けた方針と理想とする姿について記載。ガバメントクラウド上でのシステム構築に加えて、SaaS利用推進していく上でのICT事業者の重要性について記載されている。

2.自治体保育業務のSaaS化

保育園でのSaaS導入について記載。

SaaS導入による効果、ICT事業者の立場などが説明されている。利用規約に関して注意が必要な点を多く説明している。ニュージーランドで保育園SaaSを運営している会社と比較しながら、日本企業の展開している保育園SaaSの課題を記載。保育SaaSを利用するに当たって、保育者・保護者への「同意ボタン」で片付けるのでなく、説明機会の用意など対策が求められている。

3.健康医療情報の収集の活用について

神奈川県が取り組んでいる「マイME-BYOカルテ」での医療情報の収集と活用について記載。

個人の医療情報をデータベース化して、普段の未病改善の見える化や災害時の活用できるようにしている。反面、個人情報の取り扱いに関しては課題があり、自治体でもシステムに精通した専門スタッフの必要性が求められている。

4.個人情報保護と同意のあり方

個人情報の同意について、個人情報取扱事業者と行政機関での捉え方の違いについて説明。

自治体サービスでは、同意しないことで不当な扱いになってしまう可能性もある。

ユーザーが同意にあたって疑念を払拭できるよう、自治体は利用規約に関するサポート体制も積極的に設けるべき。

5.SaaS利用の契約諸関係が有する問題点と自治体の課題

「自治体」・「民間事業者」・「利用者」の関係性において利用規約の同意は「民間事業者」と「利用者」の間で結ばれているものになっており、「利用者」と「自治体」における関係性が曖昧になっている点を指摘。

各自治体におけるSaaS利用にあたって、基本方針を定めるような議論が進んでいくべきであることを説明している。

③感想

マイナンバーカード連携などで、自治体のDX化を少なからず実感していたが、全国でのDXの進め方を知ることができた。自治体のSaaS化におけるセキュリティ面(特に利用規約)に関しては、非常に課題が残っていることが理解を進めることができSaaS領域で業務に従事している方や自治体勤めの方には読む価値のある1冊だった。

④おすすめできる人

自治体勤めの人

自治体関連の情報収集をしたい人

IT領域に興味のある人

SaaS商材に携わりたい人

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